会期
令和3年10月29日(金)〜令和3年11月21日(日)※休館日:毎週火曜日
観覧時間
午前10時〜午後6時(入場は午後5時30分まで)
会場
国立新美術館
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第8回日展を迎えて
公益社団法人 日 展
理事長 奥田小由女
日展は明治40年の文展から数えて今年は114年を迎えます。
東京オリンピック·パラリンピックが1年順延の後、コロナ禍の中、懸命の努力の
末開催され、多くの人々に悦びと感動と勇気を与え続け、無事に閉会出来た事は何よ
りでありました。
日展は、昨年に続き休まず日展としての美と感動を発信し続けたいと第8回日展を
開催致します。コロナ禍、密になる事を避ける為、会期中の行事は中止と致し、厳し
い状況下で制作に取り組んだ日展5科、「日本画·洋画·彫刻·工芸美術·書」の渾
身の作品を社会に向けて発表する公募美術展として開催致します。
私達日展作家は、医療従事者に感謝を捧げながら、必ず明けゆく時を信じて、孤独
と戦い本物の美を求め続け努力と精進を重ねています。
第8回日展を多くの方々に御高覧頂きたく、感染予防対策を十分に徹底した上でご
案内致します。
皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。
日展は、日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書の五つの部門からなる総合美術展で、また世界でも類を見ない規模の公募展です。
全国各地から、10代の学生、社会人や100歳の方など、幅広い年齢の方が応募し、その中から厳しい審査を経て選ばれた作品が陳列されます。
第 8 回日展
第1科(日本画) 審査所感
審査主任 福 田 千 惠
二年目に入ったコロナ禍の中、感染予防の為マスク着用、ソーシャルディスタンスのもと安 心安全に努めるよう心しました。作品を出品された方々には敬意を表します。審査員一同それ ぞれ今の心境の中で描かれた作品を、一作一作向き合い丁寧に鑑審査を行いました。
今年の作品を拝見し感じたことは、この重苦しい現状から離れたい気持か、格調は高くおだ やかで静かな境地を求めた作品が多かったように思います。
作品に対し、品格と感性は大切なことです。さらに自分の信念を持ち、思う存分立ち向かう 強い意志の作品群も増えて欲しいと願っています。
十八人の審査員の先生方にも感謝し、特に外部審査員 潮江宏三先生、安田晴美先生には、 鑑査をはじめ賞選考にも御参加下さり、改めて御礼と感謝を申し上げます。
搬入数 351 点 ・ 入選数 151 点 ・(内新入選) 12 点
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第8回日展
第2科(洋画) 審査所感
審査主任 湯 山 俊 久
第八回展は、コロナ禍というたいへんな時世であるにもかかわらず、搬入数は多少減少した もののほぼ例年並みの数に達した。審査において、優れた作品も多く認められたが、全体的に、 アカデミックな解釈を根底にするも、各々が、リアリティー豊かな個性を発揮して頂くことが、 今後の日展洋画を魅力あるものに発展させて行くものと、確信した。
篠 雅廣、冨田 章外部審査員をはじめ、各審査員に心から御礼を申しあげたい。
搬入数 1,604 点 ・入選数 625 点・ (内新入選) 67 点
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第8回日展
第3科(彫刻) 審査所感
審査主任 能 島 征 二
第八回日展は、昨年よりの新型コロナ感染症が減少傾向に向かい、はれて開催の運びとなり ました。これもひとえに、会員、関係者、出品者各位の熱意とご尽力の賜物と厚く感謝申し上 げます。
第三科の彫刻は、草創期より絶えず具象表現を求め、作家各位が相互に技術を磨き、多様な 表現を重視しながら、高い品性、感性、造形性を希求してきました。
一般応募作品は、ここ数年減少傾向が続いてきましたが、厳しいコロナ禍にあっても積極的 に制作に挑み、入選作品は質の高い表現が見られた。厳しい造形性、内面に宿る造形思考を重 視した作品を入選作といたしました。その内新入選は三点であった。特選は、各審査員が入念 に審査し、高い造形力表現力を重視して、質の高い八点を審査員の総意として選出した。
彫刻の会場は、日展がまさに具象の殿堂であると主張するように、流行に流されない、作家 個人の内的な造形精神を、その技術を、具象表現に遺憾なく込めてきた感があります。どうか 日展の歴史的な継承、その具象の形象を間近に感じて頂きたい。
搬入数 88点・入選数 64点・ (内新入選) 3 点
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第8回日展
第4科(工芸美術) 審査所感
審査主任 三田村 有純
第 8 回の応募数は昨年より若干減りましたが、力作がたくさんあったことは嬉しい事です。 外部審査員二人を含む 19 人の審査会では、それぞれの工芸観について語ることから始めまし た。立体作品から審査に入り、丁寧に作品と対話し、日にちを変えて二審、三審、四審と重ね て行く中で入選が決まり、続けて平面作品の審査に入りました。
特選の 10 点を決めるにも二日間かけて、何度もの審議を行い、最終的には全員で投票を行 い、令和 3 年を代表する作品として選出しました。惜しくも特選から外れた作品も力があり、 次年度以降の作品に期待して止みません。
第 4 科の作品は様々な素材、表現からなる創作的なものです。新しい時代への力強いメッセ ージを持つ作品群が豊かな未来を作る礎になることと信じています。
搬入数 612 点・入選数 443 点 ・(内新入選)34 点
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第8回日展
第5科(書) 審査所感
審査主任 髙 木 聖 雨
昨年度より続くコロナ禍は社会情勢と我々の生活を一変させ、芸術界も様々な困難 に見舞われました。その大変な状況の中で、本年度も無事に日展が開催できることを 心より嬉しく思います。
今回展の応募点数は 8,518 点、昨年度よりも 87 点増加しました。これは偏に作家の 皆様の書を愛する心と制作意欲の高さ、そしてコロナ禍に負けるものかという強い意 志によるものだと考えております。敬服の外ありません。入選率は約 13%と厳しいも のでしたが、審査にあたり、絶え間ない鍛錬による線の充実した力強い作品、流麗な 連綿と余白の輝く作品、古人の考えや技を咀嚼、アレンジし現代感覚に溢れた作品、 古法に忠実な安定感の感じられる作品、溌溂とした若手の作品など、多くの作品から 例年以上の熱い思いとエネルギーを感じることができました。公正公平をむねに、審 査員一同、真剣に審査に臨みましたが、水準の高い作品群から入落を選定せねばなら ないことにはやはり苦心いたしました。特選の選考は特に苦慮しましたが、選ばれた 作品はどれも技法と感性、表現法の粋ともいうべき珠玉の作と言えます。
コロナ禍で、書とはどのような芸術か、社会における書の存在意義は何か、各作家 がそのようなことを考えることも多かったのではないでしょうか。新しいことに挑戦 する作家、原点回帰をはかる作家、現状の仕事をより深化させようとする作家、色々 な姿があったかと思います。今回の作品は、皆さんがコロナ禍をどのように過ごした か、如何に書に向き合ったかの結果となっていることでしょう。先行きの見えない状 況ではありますが、前を向いて「日展の書」をともに盛り上げていきましょう。
搬入数 8,518 点・入選数 1,083 点・ (内新入選)209 点